社会全体が軍事化 赤嶺政賢氏(うりずんの会会長)<安保関連3文書・県選出議員に聞く>


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赤嶺政賢氏

 政府が閣議決定した安全保障関連3文書や防衛費が大幅に増えた来年度予算案では沖縄について陸上自衛隊の追加配備や新たな補給拠点設置、長射程ミサイル配備などが盛り込まれた。自民党国防部会長として3文書の改定に携わった国場幸之助衆院議員と県選出野党国会議員でつくる「うりずんの会」会長を務める赤嶺政賢衆院議員(共産)に評価や今後の取り組みを聞いた。 (明真南斗)

 ―新たな安全保障関連3文書をどう評価するか。

 「敵基地攻撃能力の保有は憲法破壊だ。日本が攻撃を受けなくても、同盟国のために戦闘に参加する可能性があり、相手国から見れば国際法違反の先制攻撃と捉えられる。社会全体が軍事化する」

 「南西諸島の軍事強化がちりばめられている。『軍隊は住民を守らない』という沖縄戦の教訓を踏まえておらず、到底納得できない。沖縄戦の歴史を知らず、米国の戦略を最優先に考えているのではないかと思う。平時から脅威を感じる軍事施設が造られ、米中が軍事衝突したら真っ先に標的になる」

 ―ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、自衛隊を増強すべきとの考え方はどう捉えるか。

 「2015年の安保法制以降、自衛隊の性格は変わっている。今や専守防衛ではなく、米国と一緒に敵基地を攻撃する軍隊になろうとしている。人命救助や災害対応のためではなく、戦争のための増強だと広く知らせることで、戦争反対の声を大きくできる」

 ―今後、この問題にどう取り組むか。

 「今後、政府による県民分断策も露骨になってくるだろう。軍事ではなく、平和外交を求める声を上げていくことが必要だ。うりずんの会としても、国会論戦で全力を挙げる決意だ。沖縄を再び戦場にするなという大規模な県民運動をつくりたい。県民が団結すれば、3文書の中身を実行不可能にできる」

 ―自衛隊増強に対し、玉城デニー知事を含む「オール沖縄」内で温度差があるのではないか。

 「沖縄を再び戦場にさせないという一致点がある。自衛隊については玉城知事が就任前から容認で、われわれと立場が違う。だが、住民合意のない進め方に反対だと言っているのは大事だ。今後、頑張って県民の世論を大きく盛り上げ、もはや専守防衛の自衛隊ではないという本質的な問題を掘り下げて話し合えば分かり合える」

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