平和国家次世代に 国場幸之助氏(自民党国防部会長)<安保関連3文書・県選出議員に聞く>


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国場幸之助氏

 政府が閣議決定した安全保障関連3文書や防衛費が大幅に増えた来年度予算案では沖縄について陸上自衛隊の追加配備や新たな補給拠点設置、長射程ミサイル配備などが盛り込まれた。自民党国防部会長として3文書の改定に携わった国場幸之助衆院議員と県選出野党国会議員でつくる「うりずんの会」会長を務める赤嶺政賢衆院議員(共産)に評価や今後の取り組みを聞いた。 (明真南斗)

 ―3文書改定の意義をどう捉えるか。自衛隊増強による県内の負担増にどう向き合うか。

 「平和国家の理念を貫徹して次世代に残すため、近隣諸国の情勢を現実的に踏まえた、対処能力のある安全保障の在り方を整えた歴史的文書だ。自衛隊の配備や訓練などには地元の合意形成が重要だ」

 ―自民党内や、公明党との協議では県出身議員として何を意識したか。

 「外交や安保の重要な場面では沖縄の人間が中に入って関わることが大事だ。現場感覚を踏まえて発言した。公共インフラを利用する際、地元の理解がなければ機能しないことなども指摘した」

 ―国会を経ずに与党と政府だけで3文書を決定し、地元説明なく予算化したのは適切だったか。

 「安倍政権時から続く長い歴史ある議論だ。今年も必要な場面ごとに説明責任を果たしてきた。決めるのは与党の責任で、3文書に限らず、与党による事前審査制度の形だ。途中で公表されてまとまらなくなる方が問題だ。具体的に進む時に地元の合意形成を図ることが大事だ。ただ、防衛省は少なくとも地元の首長や国会議員ら関係者には説明しておくべきだ」

 ―防衛体制強化が先にあり、後から国民保護を強調したのではないか。

 「確かに最初の素案には(国民保護が)あまり出ていなかった。本来の目的は国民の生命を守ることなので国民保護をもっと強調してくれと求めた。沖縄戦の教訓も意識した。国家の責務としての国民保護を強調した」

 ―自衛隊増強は進む一方で国民保護措置は具体的に決まっておらず、不安を感じるが、どうか。

 「国民保護が必要になる時は戦争前夜のような残念な状態だ。国民保護を必要としない平和な秩序をつくっていくためにも今回の防衛力整備は必要だった。それが先行して不安に思うのは違う。だが、万が一、国民保護が必要となったとしても命を守るため、訓練を重ねたり、シェルターを整備したりするのも国の責任だ」

社会全体が軍事化 赤嶺政賢氏(うりずんの会会長)<安保関連3文書・県選出議員に聞く>