激戦地の土砂、3月にも採掘 糸満 沖縄県が業者の再届け出を受理


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 沖縄戦跡国定公園内にある糸満市米須の鉱山から土砂を採掘する計画について、県環境部自然保護課は28日、開発業者の沖縄土石工業(永山盛也代表)が自然公園法に基づき提出した再届け出を受理した。本紙の取材に対して永山代表は、糸満市の風景づくり条例に基づく手続きや、採掘した琉球石灰岩を搬出するための仮設道路整備に時間を要することなどから「(2023年)3月ごろには採掘を開始したい」と述べた。 

 受理は再届け出の提出日にさかのぼって12月1日付。

 鉱山からの採掘に対しては、沖縄戦戦没者の遺骨を収集する団体などが戦没者の遺骨が混じる可能性や、辺野古新基地建設の埋め立て資材に使われる可能性があると指摘し、計画に反対している。

 業者が再届け出した新計画では、工期は23年1月4日~26年1月3日の3年とし、旧計画の7年から短縮した。採掘区域は5523平方メートルに縮小。旧計画の7198平方メートルに含まれていたシーガーアブ(ガマ)や沖縄戦戦没者の遺骨と思われる人骨が収集された区域などを除外した。

 永山代表は「琉球石灰岩に遺骨が混じることはない」と強調した上で、採掘自体ができていないこと、辺野古埋め立ての進捗(しんちょく)状況などを挙げ「この鉱山から採掘した琉球石灰岩が(辺野古で)使われることは現実的に不可能だろう」とした。業者の新計画について、糸満市は条例などに基づき書類の提出を求めており、審査の上、必要に応じて業者と協議するとしている。仮設道路整備のための農地の一時転用について、県農林水産部農政経済課は市と業者の手続きなどが整った後に判断する。 (安里周悟まとめ)