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気候変動を考える さまざまなリスクを想定 <けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 近年、豪雨による大規模な自然災害など、これまでに経験がないような事態に見舞われることが多くなりました。

 その要因には、地球温暖化など気候変動による影響が考えられますが、気候変動の拡大に伴い、企業活動に様々なリスクがもたらされると言われています。

 こうした状況を背景に、日本では2022年からプライム市場上場企業に対し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づく気候関連リスクの情報開示が要請されるなど、気候変動対策に向けた取り組みが進められています。

 気候関連リスクについては、主に(1)低炭素経済への「移行」に関するリスクと、(2)気候変動による「物理的」変化に関するリスクに大別されます。

 具体的には、「移行リスク」には温室効果ガス排出に関する規制の強化や、国の「政策・法規制によるリスク」などが挙げられます。

 また、「物理的リスク」には台風や豪雨による突発的な異常気象によって、原材料の調達や工場の稼働停止といったサプライチェーンに影響を及ぼす「急性リスク」や、海面上昇による浸水被害により不動産の資産価値が毀損(きそん)するおそれのある「慢性リスク」などが挙げられます。

 気候関連リスクを特定・評価し、自社の経営戦略やリスク管理に反映させることは容易ではありませんが、周囲を海に囲まれた沖縄にとって、気候変動による影響を考えることは、今後の事業活動継続を見据えるなかで重要な取り組みになってくるでしょう。

(沖縄銀行北谷支店支店長 下地巧)