沖縄の経済界「回復に向け前進」 コロナの5類移行 課題は人材不足、訪日客の増


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 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、岸田文雄首相は20日、今春に5類に引き下げる方針を表明した。季節性インフルエンザと同じ位置付けになることから、緊急事態宣言などの行動制限はかからなくなる。沖縄県内の経済界からは回復に向け前進と好意的な意見が相次いだが、冷静な受け止めも見られた。

 現在の県の対処方針では、大人数や長時間の会食・交流を控え、事業者にも業種ごとに設けられたガイドラインを順守するよう求めている。政府の感染対策の転換により、さらなる人流の回復や消費マインドの喚起につながる可能性もある。

 コロナ禍に伴い県内のレンタカー業界では台数を減らしていたため、昨夏は観光需要の高まりに対して供給不足が生じた。県レンタカー協会の白石武博会長は「(5類移行で)事業の組み立てができない状況から解放される」と歓迎する。人手不足などの課題は残るが「社会がようやく正常に動くようになる」と安堵(あんど)した。

 日本旅行業協会(JATA)沖縄支部の與座嘉博支部長も「PCRや抗原検査を前提にした渡航が必要なくなるので、交流の自由が生み出され、良い雰囲気づくりにつながる」と前向きに受け止めた。政府が屋内でも原則的にマスクを不要とする方向で検討を進めていることについて、外国人はこれまでマスクを着用する習慣が希薄だったことに触れ「マスクなしはインバウンド(訪日客)にとっても嬉しいことだろう」と話した。

 デパートリウボウを運営するリウボウホールディングスの糸数剛一会長は、現状で既に規制が緩和されていることから「すでにお客さまは5類に移行したような行動をとっている。実態はほとんど変わらないだろう」と持論を語る。インバウンドの戻りが県外都市圏と比べて遅いとし「県経済は感染症法の分類よりも、海外の航空路線の回復が鍵となる」と指摘した。
(小波津智也まとめ)