〈140〉慢性腎臓病の治療法 生活支えるための透析


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 血液透析や腹膜透析、腎移植という治療法をご存知ですか? 慢性腎臓病が進行すると腎臓の働きが弱り、不要な水や老廃物を体から排泄(はいせつ)できなくなります。腎臓の働きが10%程度まで低下すると体のバランスが取れなくなり、腎臓の代わりとなる治療が必要になります。血液透析、腹膜透析、腎移植です。

 血液透析は血管に針を刺すか、カテーテルを使って血液を体の外に取り出し、透析機を通すことで体にたまった水分や老廃物を取り除きます。週3回医療機関へ通い、1回の治療時間は約4時間。病院で医療スタッフが治療を行う安心感がありますが、集中的に治療をするため体への負担が大きく、通院も多いため、治療のせいで疲れ切ってしまうこともあります。

 腹膜透析はカテーテルを使っておなかの中に透析液を入れ、腹膜を介して余分な水分や老廃物を取り出します。毎日自宅で患者自身、あるいは介助者が治療を行います。寝ている間に機械を使って自動で行う方法と、日中に3~4回、1回あたり30分程度のバッグ交換を行います。毎日行うので体への負担が小さく、通院も月1、2回です。

 もう一つの治療法が腎移植です。親族またはお亡くなりになった方から一方の腎臓を移植します。腎移植が成功すれば免疫抑制薬を飲む以外はこれまで通りの生活を送ることができます。

 日本ではまだまだ腎移植の機会が少なく、透析を選択される方が大半です。透析は腎臓の代わりに体調を整えてくれる一方、治療に多くの時間を取られます。透析を行いながら充実した生活を送るためには、仕事、趣味、生活習慣といった生活スタイル、年齢、生活環境を踏まえ、一人一人に合った治療法を選択することが大切です。

 どの治療法がよりよく体調を保てるのか、より自分らしく生きられるのか、医師や看護師、家族や友人とよく相談し選択してください。透析が必要になっても、透析が生活の中心になるのではなく、生活を支えるための透析となるよう願っています。

(普久原智里、ハートライフ病院 腎臓内科)