拓南製鉄(沖縄市、八木実社長)と東京鉄鋼(栃木県、吉原毎文社長)は2日、建設工事の省力化の実証に関する見学会を沖縄県豊見城市豊崎で開いた。建設業界は高齢化などによって慢性的な人手不足という課題を抱えている。見学会では、あらかじめ部材を作成して作業現場での省力・効率化を図る工法を紹介し、集まった約200人の関係者に対して課題解決の方法を提案した。
東京鉄鋼は、鉄筋コンクリート用棒鋼などの製造メーカー。同社が開発したねじ状の鉄筋「ネジテツコン」は、拓南製鉄が技術供与を受けて県内で生産している。鉄筋同士をガス圧接せずに筒状の器具を介してつなぐ機械式継手(つぎて)を使用することができる。
今回提案したのはネジテツコンを使った先組み工法。施工現場から離れた地上で事前に柱やはりなどの部材を作り、クレーンで荷揚げして機械式継手でつなぐ。従来の作業は、現場に資材を荷揚げし多くの人手を使って鉄筋を配置して順次圧接するが、先組することで現場での作業が少なくなり、効率化や安全性が向上する。
ガス圧接は雨天に実施できず職人の技術力によって品質が左右される。機械式継手は比較的容易に施工でき、品質を確保しやすいメリットもあるという。
見学会では、先組みしたはりの部材を高所で設置するデモンストレーションが行われ、作業を一部省略したものの約10分で終了した。東京鉄鋼の担当者は「通常、マンションのはりの配筋は2、3日掛かるが、今回は1日で終えられる」と効率性をアピールした。
拓南製鉄営業部の川村剛司課長代理は「特殊な結束線を使って部材を折りたためるようにして積載性を高めることもでき、工場から大量に運搬することも可能だ。鉄筋をただ売るだけではなく、工法を提案してお客様にもメリットを実感してほしい」と話した。
(小波津智也)