MICE整備を民間資金で 財政負担を抑制 来年度に「実施方針」事業者を公募へ 沖縄県が初導入


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大型MICE施設の建設予定地(資料写真)

 県文化観光スポーツ部は6日、与那原町と西原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区に整備する大型MICE(マイス)(企業の報奨旅行や国際会議、展示会などの総称)施設について、民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式とする方針を固めた。県がPFIの手法を導入すれば初めての事例となる。PFIによる整備に必要な「実施方針」を2023年度中に公表し、事業者の公募をかけることを予定している。

 県は6日の庁議で決定した2023年度の当初予算案で、マリンタウン大型MICE施設整備整備・エリア形成事業費として4300万円を計上した。昨年発表した基本計画でPFIを想定していたが、実施を正式に決定した。予算は主に実施方針作成の委託費として使用する。

 PFIは、民間企業が設計から施工まで発注し、建設後の運営や維持管理も行う公共事業の手法となる。県は建物の所有権を持つ。インフラ整備などに民間の資金や経営ノウハウを活用することで、自治体の財政負担を抑えることを狙う。

 実施方針には、業務の範囲、募集や選定に関する事項、県と民間事業者間でのリスク分担の考え方などを記載する。

 県はMICE施設のメイン展示場の面積を約1万平方メートルと予定。建設などにかかる予算規模は300億~400億円と見込んでいる。

 大型MICE施設の整備は、翁長雄志知事時代に建設場所が与那原・西原町に決まったが、財源と見込んでいた沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)の交付を国が認めなかったことで計画が中断。県は施設規模や整備手法の見直しを余儀なくされてきた。
 (與那覇智早)