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32軍壕保存求める会 声明全文
沖縄を再び戦場にすることに断固、反対する
2023年2月6日
第32軍司令部壕の保存・公開を求める会 会長 瀬名波栄喜
琉球列島に戦雲が広がりつつある。その背景にはロシアの宣戦布告なきウクライナ侵攻や台湾をめぐる米中の対立がある。世界の国々はそのいずれかに与し、武器を提供し、戦争に加担し、まさに第二次世界大戦または沖縄戦前夜の様相を呈している。それは、第二次世界大戦中、枢軸国と連合国の対立と酷似している。第三次世界大戦に発展しないと誰が言えよう。いかなる形の戦争であれ、戦争は悪であり、勝者も敗者もない。我々は戦争への道を歩むことに対しては断固として反対する。
我が国も「台湾有事」の言説の中で、国民不在の防衛力強化のための防衛費の増額、専守防衛を逸脱しかねない敵基地攻撃を想定し、南西諸島へのミサイル配備、沿岸聯(れん)隊の創設、自衛隊の旅団から師団への格上げ、火薬庫やシェルターが建設される。さらに、石垣駐屯地で司令部の地下化計画が進んでいる。我々が第32軍司令部壕を「負の遺産」として保存、公開を訴えているのは、それを平和発信の砦にするためである。
しかし、「抑止力」や「防衛」に名を借りた今回の一連の動きについては、地下司令部壕の保存と公開を求める我々の運動に対して、自衛隊の司令部地下化を支援するかのように誤解した受け止めが広がりかねない。我々が希求するのは、今回の自衛隊の計画とは全く異なる「平和への道」である。第32軍司令部壕は、そのための「負の遺産」「負の記憶」であると認識している。
国家間の対立は外交によって解決すべきであって、決して戦争の引き金となってはいけない。勝者も敗者も大義名分を主張し、戦争を正当化し、美化することを歴史は教えている。第二次世界大戦で日本は「大東亜共栄圏」や「八紘一宇(はっこういちう)」という皇国思想を掲げて戦争を起こしたが、日本国民のみならず、アジア諸国の人々に如何に多大な犠牲を強いてきたことか。満州事変や支那事変が日本軍部の独走と陰謀によって引き起こされた史実を、我々は決して忘れてはならない。
生活の場が戦場になった過酷な沖縄戦を体験した我々が得た辛い教訓は、「命どぅ宝」、軍隊は住民を守れない、否、守らないということである。我々は、沖縄を再び戦場にし戦禍に巻き込まれることに断固反対し、同じ志を持つ県内外の多くの人々と連帯する。