「なんで沖縄の声を聞かないのですか?」。昨年10月、沖縄に修学旅行で訪れた、東京都世田谷区の和光小学校6年生の児童36人が1日、岸田文雄首相に手紙を出し、辺野古新基地建設や戦争への考え方をただした。沖縄で基地や戦争を身近に感じた子どもたち自身で発案したという。
質問は主に日本政府の安全保障政策に関する10項目。首相官邸宛てで、児童が卒業する3月までに返事を待っている。
ある児童は、沖縄戦や辺野古新基地建設を知った衝撃をつづった。「(戦争体験者が)『家族が目の前で血を流さずに死んでしまい、それをうらやましいと思った』と聞いてびっくりした。でも一番しょうげき的だった事は米軍基地を作っているのは日本政府だったと言う事です。国民のために動いてくれている岸田さん達が国民をくるしめている」
別の児童は、県民の反対にもかかわらず埋め立てが進む辺野古に触れ「なんで沖縄の声を聞かないのですか? 自分だけの意見ではなく人の意見もちゃんと聞き、理解しないと平和にはならないと思います」と記した。
防衛費増額や反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に関し「なぜ防衛費をあげるんですか? 教育や子どもにまわした方がいいと思います」「戦争をしたいのですか?」と書いた児童もいた。
小学校は手紙のコピーを各政党やメディアにも郵送し、東京新聞は3日付の1面で大きく報道した。多くの反響が学校に寄せられ、激励が大半だった一方、「恣意(しい)的だ」などの誹謗(ひぼう)中傷も一部あったという。増田典彦副校長は「私たちが世論を喚起したいのではなく、純粋に沖縄で話を聞いて現場を見た子どもたちが思ったことだ。子どもたちには学びを通し、社会に関心を持つ人になってほしい」と話した。(手紙は原文ママ)
(中村万里子)