「孤独なママをゼロに」産後ケア施設整備へクラファン実施 沖縄・名護の助産院BAO


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整備を進めている新産後ケア施設で、母親や子どもたちと触れ合う宮城とも美さん(右)=名護市為又

 【名護】地域の力で孤独なママをゼロに―。助産院「BAO(バオ)」(宮城とも美代表)は沖縄県名護市為又の沖縄フルーツランド内に新しい産後ケア施設を整備するため、資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施している。施設では母親向けのリラクセーションサービスも提供する予定。宮城さんは「母親の悩みや情報共有の場にもしていきたい」と話す。CFの期間は23日まで。

 産後ケアは医療機関や助産院への宿泊や通所、助産師などの自宅訪問で、心身のケアや授乳のアドバイスなどを受けることができる事業。

 宮城さんは市内の医院で助産師として働き、2021年にBAOを開業。名護市などの産後ケア事業を受託した。宮城さんは「国がケア事業を進めているが、妊娠から産後まで母親を支える施設がまだ限られているのが現状だ」と指摘する。

 施設にはベビールームや母親が休める個室、乳房ケアなどができる個室、リラクセーションルームなどを設置する。子育ての悩みを1人で抱え、うつや自傷行為に走る事例を目の当たりにしてきた宮城さん。「乳幼児の育児は想像以上に大変だ。母親同士が気軽に交流できる場にもしたい」と話す。リラクセーションは宮城さんと交流がある母親らを中心とする「子育て応援団」によるプレゼントサービス。

 内装工事中、絵描きのルビーさんを招いた壁画ペイントイベントも開催した。地域の人々や子どもたちが集まり、手形や足形などを残した。子育て中の島尻さくらさん(32)は「産後ケアについて今まで知らなかった。子どもを預けてゆっくり休める施設は母親にとってありがたい」と期待を寄せる。

 CFは2日時点で115万円以上が集まっているほか、宮城さんの元には乳幼児用の服の寄付も絶えないという。目標金額は230万円。宮城さんは「多くの人から協力をいただきありがたい。母親を孤独にさせないための施設を地域の皆さんとつくっていきたい」と意気込んだ。CFの返礼品はフルーツランドの入場券などを予定している。

 詳細や申し込みはhttps://camp-fire.jp/projects/626307まで。

 (長嶺晃太朗)