沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に伴う防衛省の設計変更申請を県が不承認とした処分の正当性を争う抗告訴訟の第1回口頭弁論では、県に原告としての適格性があるかを巡り県と国で主張が対立した。
辺野古新基地建設の裁判を巡っては、2022年12月、最高裁が埋め立て計画全体の妥当性を問うた抗告訴訟で、法定受託事務について審査庁(国土交通相)が出した裁決の適法性は、抗告訴訟で争えないとした判決を出している。
国側は、この判決を引用して、県に訴訟を提起する適格がないことは「明確に示されている」と強調。県が変更申請を不承認としたことの不当性や、国交相裁決の妥当性といった中身には一切触れずに、県の訴えの却下を求めた。
一方の県側は、軟弱地盤が過去に工事実績がない海面下90メートルに及ぶといった工事の不確実要素があることを強調。埋め立て工事に要する期間が当初の5年から変更申請後約9年へと大幅に伸びることとなり、移設事業の動機となった普天間飛行場の危険性を「一刻も早期に除去」することにつながらず、「埋め立てによる積極的価値が損なわれた」などと工事によって生じる不利益が利益を上回っているなどとし、実質審理を求めた。