沖縄県、「辺野古」の漁業権を除外へ 臨時制限区域内


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 今年行われる沖縄県内の漁業権免許の一斉切り替えに関連し、県は9日までに、名護市辺野古の新基地建設工事現場周辺に設けられている「臨時制限区域」の漁業権を除外する方針を固めた。県は過去、名護漁協が付与された漁業権の放棄を決めた臨時制限区域にも漁業権そのものは存在し、サンゴを破壊する際には「岩礁破砕許可」を県から得る必要があるとし、工事を進める国と対立。法廷闘争になったが、2018年に県の訴えが棄却された経緯がある。

 漁業権に基づく「岩礁破砕許可」は県が辺野古新基地建設阻止に向けたカードの一つだったこともあった。県関係者は、辺野古新基地建設工事への実質的な影響はないとしている。

 漁業権の一斉切り替えは10年に1度行われ、今年9月1日に交付予定。

 県が臨時制限区域の漁業権除外を固めたのは、現在漁業権区域の免許を受けている名護漁協が、臨時制限区域について権利設定を求めないとの意思を示したことや、2020年に水産庁が出したガイドラインに基づき、立ち入れない海域には漁業権を設定すべきではないとされたことがある。

 これを根拠に、沖縄防衛局も、臨時制限区域に漁業権を設定しないよう求めていたという。

 臨時制限区域は、政府が辺野古新基地建設を進めることを目的に、米軍キャンプ・シュワブ沿岸の立ち入り禁止水域を拡大する形で14年に閣議決定で設定した。
(知念征尚、明真南斗)