コロナ、沖縄社会・経済を直撃 デニー知事「引き続き怠ることなく」 きょう初確認から3年


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 新型コロナウイルス感染症の感染者が県内で初確認されてから、14日で3年がたった。この3年間で、感染拡大の波がくるたびに県庁は対策に追われ、国の指定による新型インフルエンザ等特措法に基づく緊急事態宣言(措置)が2回、まん延防止等重点措置が2回、県独自の「緊急事態宣言」が2回出され、社会、経済活動を制限することで、感染拡大を抑制してきた。

 県は陽性者の初確認後、2020年4月に県庁内部で感染症対策を話し合う「県新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置。災害医療コーディネーターが常駐し、リアルタイムの入院調整などで、医療の負荷を抑える対策を実施してきた。第2波に入った同年8月以降はコロナ対策本部の機能を拡充し、自宅療養者の健康観察や福祉施設支援、看護師確保なども実施している。

 初確認された20年の春は、県外からの「感染流入」を防ぐことに主眼が置かれ、県内への渡航自粛要請も出された。

 感染者が増加するたびに、県は医療崩壊を回避するための「緊急特別対策」や、県独自の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置を出すことで、県民に行動制限を要請し、感染の波を抑える施策を展開した。22年9月までの「第7波」に至るまでの間、県の対処方針は、地域ごとの感染状況などを踏まえ、(1)飲食店(2)大規模施設(3)イベント(4)県外への往来(5)観光客などの来訪者(6)学校―などについて、細かく変更された。

 22年1月以降は感染力の強い「オミクロン株」が流行し、その派生型となる「BA・5」が流行し、同年7月~9月は「県医療非常事態宣言」を発出した。22年秋以降も感染者数が増加する期間もあり、期間は明示していないものの、県は沖縄県内で「第8波」があったと捉えている。

 県内で陽性者が初めて確認されてから3年が経過したことについて、玉城デニー知事は今月10日の定例記者会見で「第1波から8波まで、感染症への取り組みについて多くの知見が構築された。引き続き怠ることなく取り組みを進める」と強調した。

 離島県で医療提供体制が脆弱(ぜいじゃく)な中、感染の拡大は県経済や社会に大きな影を落としてきた。

 県は23年度以降、国立感染症研究所と連携した「感染症研究センター」を設置し、感染症の専門人材の育成を目指すなど、先を見据えた施策を展開する方針だ。
 (池田哲平)