生活資金の特例貸し付け制度の返済免除が4割を占める。その背景には、コロナ禍で大打撃を受けた県内世帯の生活苦がにじむ。出口は当面見えそうにない。
沖縄県社会福祉協議会によると、貸し付けはいずれも10~90代の幅広い世代の借り手がおり、働き世代の40代が最多。職業別の集計はないが、沖縄の基幹産業である観光に関連した飲食やタクシー業界などで働く人々の申請も多かったという。
▼コロナ生活資金の貸し付け、沖縄県内で返済免除4割 決定額147億円 長引くコロナ禍で生活の改善厳しく
本島中部で飲食店を経営する50代女性は、コロナ禍で客が激減し収入が大幅に減った。生活資金に困り、200万円を借り入れ「だいぶ助かった」と感謝する。家計は今でも苦しいが、地道に返していく考えだ。
各社協にも「助かりました」などの感謝の声が寄せられた。中には手作りマスクを社協に寄付する人もいたという。
全国社会福祉協議会が設置した有識者会議は、制度に多くの人が殺到したことに「この国でいかに多くの人々が、困窮や孤立に陥りかねない不安定な生活条件の下で暮らしているのかを示した」と指摘している。
新型コロナウイルス特例貸し付けで最も件数の多い緊急小口資金は、5万9179件(全期間)の貸し付けがあった。県内の総世帯数63万3226世帯(22年12月1日現在、県推計)で割ると、9・3%の世帯が制度を利用した計算になる。
返済の免除や猶予、減額の申請は期限を設けずに受け付けている。県社協は平日午前9時~午後5時、コールセンター(電話)098(975)9586で相談を受け付けている。
(金良孝矢)
用語 新型コロナウイルス特例貸し付け
コロナ禍で減収した世帯を対象に国が生活資金を貸す制度。2020年3月~22年9月、各市町村の社会福祉協議会を窓口に対応してきた。最大20万円の緊急小口資金と、最大月20万円を3カ月までの総合支援資金がある。総合支援資金は同じ内容で延長と再貸し付けを利用できた。最大200万円が借りられた。いずれも無利子で保証人不要。
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