電力の不正閲覧、全社に拡大 事業者情報など 沖電を含む7社で


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 経済産業省は16日、北海道、東北、北陸、関西、四国、中国、沖縄の大手7電力で、小売り部門の社員が再生可能エネルギー事業者の情報を管理する経産省のシステムにアクセスし、代表者氏名などの情報を不正に閲覧する事案が判明したと発表した。不正事案は大手全10社に拡大した。

 システムへのアクセス権限は送配電会社や部門に付与されているが、これを権限のない小売り部門の社員が利用して閲覧していた。これまで東京、中部、九州の各電力で判明し、他社でも同様の事例がないかどうか調査していた。

 電力業界では、これとは別に、競合する新電力の顧客情報を不正に閲覧していたことが6社で発覚している。このうち関電では営業に利用していたことが分かり、競争上問題視されているが、今回の事案は再エネ事業者の情報を閲覧したもので、事務手続きを円滑に進めるために利用されたとみられる。

 システム上では再エネ事業者の代表者氏名や電話番号などの情報を把握できる。

 最初に同種の不正が確認された東電の子会社では、グループの送配電会社の東電パワーグリッド(PG)が持つアクセス権限を利用していた。送配電会社は再エネ事業者が発電した電力を固定価格で買い取る義務があり、東電PGには経産省からシステムにアクセスするIDとパスワードが付与されていた。

 今回判明した関電の場合も、子会社の関西電力送配電に付与されたIDを利用。送配電部門を分社化する前の2017年3月末までは関電側に買い取り義務があり、その分の交付金を国に申請する過程で、発電設備の情報などの確認に利用していたという。

 中国電では、調査対象とした昨年11月6日~今年2月6日の期間に6人の社員によるアクセスがあったという。業務を効率化したり正確を期したりするためだったとしている。

 経産省は新たに判明した各社に対し、24日までの経緯の報告を求めた。
(共同通信)