拓南製鉄(沖縄市、八木実社長)が、県内では初めてのコンテナによる鉄筋の輸出に取り組んでいる。ネックとなっていたコンテナへの積載方法などを確立したことで、今後同様の案件があった際にも対応が可能になったという。輸入に比べて輸出が少ないという沖縄の課題解決に向けた期待も集まる。
IHIインフラシステム(大阪府)をプロジェクトリーダーとする東南アジアの橋りょう建設の政府開発援助(ODA)事業で、大手商社から声が掛かり2022年9月から輸出を開始し、今年3月までに鉄筋約2500トンを輸出する。
鉄筋の規格は各国で定められているため、拓南製鉄はこれまで、規格を持つ台湾向けの鉄筋を除いては、製鋼過程の途中で作られる半製品のビレットをメインに輸出してきた。過去3年間の輸出実績では、鉄筋が今回のODAを含め約4200トン、ビレットが約7万トンとなっている。今回はODAのため、通常販売しているJIS規格の鉄筋が使えることから輸出を決めた。
通常は3千トンか6千トンのロットがたまってからチャーター船で運んでいたが、今回は一度に運ぶ数量が少なかったため、コンテナでの輸出を検討した。港まで運んだ鉄筋をコンテナに積む方法がネックだったが、県内の物流会社がフォークリフトに取り付ける治具をつくったことで効率的な積み込みを実現した。
松井太郎専務はコンテナによる輸出について「チャーター船での輸出と比べ、少ない数量でも持って行けて小回りがきくのがメリットだ」と話す。「実績ができたことで、次に同様の依頼があった時にも対応できる」と語った。
(沖田有吾)