「教員はブラック」印象でなり手減少 現場の負担軽減が急務<先生の心が折れたとき>第2部⑤教員採用試験


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 県内の学校現場での教員不足がクローズアップされている一方で、沖縄の教員採用試験の競争率は全国トップクラスだ。県内各大学で教員免許を取得する教職課程を受講する学生は毎年ほぼ一定数で推移している。だが、採用試験の志願・受験者数は年々減少傾向にある。長時間労働といった教員の働き方のイメージが低下し、免許を取得した学生が別の職種に進むなどして、受験率が下がっているとみられる。教職のなり手を確保するためにも現場の負担軽減に向けた対策は待ったなしだ。 (金良孝矢)

 文部科学省のまとめによると、2021年度の採用試験で沖縄の競争倍率は7.9倍だった。高知の8.8倍に次いで2番目に高い。全国平均は3.7倍で過去最低だった。

 県内各大学の免許取得者数(幼稚園教諭や栄養教諭は除く)は若干の増減はあるものの、一定で推移している。教育学部がある琉球大は13~21年度は毎年度220~530人台。沖縄大は13~22年度(22年度は見込み)で50~110人台。沖縄国際大は13~22年度(同)で30~80人台となっている。名桜大は13~22年度(同)で40~60人台の状況だ。

 沖国大の担当者は免許取得者が減少傾向にあることを課題に挙げる。「まず“ブラックな職業”という印象が挙げられる。免許取得の必要単位が増えたことも要因の一つだろう」と分析する。教員に憧れる学生は一定程度いることから、志望者を増やすよりも働き方の改革など職場環境の改善が重要とし「やはり“ブラック”という印象を払拭する抜本的な処遇改善と働き方改革が必要ではないか」と指摘した。

 沖縄大と名桜大によると、教職課程を取る学生の傾向に大きな変化はみられないという。沖縄大教職支援センター長の嘉数健悟教授(教育学)は「(将来は)『教員一本』と語る学生は増えている印象」とも話す。教員不足の現状について「病休や育休などが出ることを見越し、採用枠を増やしてもいいのではないか」と提案した。

 県外大で教員免許を取得した本島中部の20代男性は帰省後に県立高で非常勤講師として勤務。猛勉強の末に採用試験を受けたが21年度は1次で落ちた。

 「何年も時間を費やすのは『コストパフォーマンス(費用対効果)』が悪い」として受験を諦め、現在は通信制の学校で働いている。

 県立高で働いた際、周囲の教員が輝いていないように見え「魅力を感じられなかった」とも。「ここで数十年働くことは考えられなかった」と明かした。