伊江島の日本軍壕、来年度試掘へ 厚労省きょうまで現地調査 沖縄


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壕の入り口があったとの証言が残る地点で現状を確認する厚生労働省職員ら=7日、伊江村

 【伊江】沖縄戦の伊江島の戦闘で、日本軍の部隊106人が戦死した壕の位置を示す米軍日報が見つかった件で、厚生労働省の職員が7日、現地調査のため伊江村入りした。収骨されていない遺骨の残る埋没壕があるとみられる一帯で状況を確認した。今回の調査を踏まえ、同省は2023年度中に、壕の入り口があったとの住民証言が残る地点で遺骨収集に向けた試掘に着手する。現地調査は8日まで。

 村は米軍日報や住民証言を基に、村家畜市場の東側の段丘約1ヘクタールを、壕がある可能性が高い地域として絞り込み、国に遺骨収集を要望していた。

 7日は、住民証言で壕の入り口があったとされる地点、壕につながる通気口があったとされる地点の2カ所を村職員らと共に確認した。証言によると壕の入り口は木が生い茂る段丘の、約150平方メートルの範囲にあるとみられる。1981~86年の厚生省(当時)の遺骨収集時は、探したが見つからなかったという。

 厚労省は壕の入り口の証言について、確度が高いとみている。80年代の調査では掘削は行っておらず、今回試掘して壕の入り口を特定できたら、遺骨収集に向けた作業を進める方針だ。

 同省社会・援護局事業課事業推進室の手塚直樹室長補佐は「村や県が、しっかり調査したいとの意向を示していることもあり、試掘を決めた。村や県と連携して取り組みたい」と話した。

 面会した名城政英村長は「心強い言葉に感謝する。時間はかかると思うが、国の犠牲になった方々を家族の下に戻してあげたい。遺骨収集につなげられるよう早めにお願いする」と求めた。

 8日は、新たに壕に関する住民証言が得られた地点などを調査する。
 (岩切美穂)