小2で「七福神」の魅力にとりつかれ バイト代は生地に 20歳の会社員、衣装作り演舞へ 沖縄・読谷村の山城さん


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七福神のきらびやかな衣装と手作りした山城誠さん(右)、指導している島袋マサ子さん=嘉手納町嘉手納共栄会事務所

 【読谷】無病息災、商売繁盛、五穀豊穣(ほうじょう)などの神様といわれる七福神に13年間魅了され続け、夢の演舞発表を実現する若者がいる。読谷村に住む会社員、山城誠さん(20)でそのきらびやかな衣装も全て手作り。「最高の舞台を披露したい」と本番に向け、情熱を注いでいる。

 山城さんが七福神にとりつかれたのは小学校2年の時、隣の嘉手納町の嘉手納共栄会の七福神の道ジュネーを見たのがきっかけ。特にその中の唯一の女性神である弁財天に心を奪われたという。

 以来、七福神信仰の意味を知り、憧れは膨れ上がるばかり。その衣装作りと、いつかは演舞を披露したいとの目標を掲げ、高校に入学後のアルバイト料は衣装生地購入費用に充ててきた。

 衣装作りは、知人を介して同町で和裁講師をしている島袋マサ子さん(77)を紹介され、2014年7月から制作に着手した。しかし針を持ったこともない山城さんにとって裁縫は初体験。それでも指導してきた島袋さんは「感性が鋭く、技法ののみ込みが早い。購入した生地の色彩感覚も素晴らしい」とべた褒めだ。

 指導は深夜4時間に及ぶこともあり、島袋さんは「備忘録によると誠君が通ってきたのは今月で60回を超えた。和裁の心得も伝授したい」と5年の歳月を振り返る。今ではまるで師弟関係の間柄だ。山城さんは「感謝しかありません」と表情を緩めた。七福神の小道具の頭巾や小づち、団扇(うちわ)、つえなども全て手作りだ。

 11、12の両日、読谷村文化センターの鳳ホールで開催される第28回村文化祭で舞台発表する。文化協会の関係者から紹介された高校生から30代の6人と共に最終日にトリで演舞する。

 山城さんは「今年は20歳の祝いがあり、夢に見た舞台披露もかなえることができた。先生との出会いも含めて七福神が招いた開運と思います」と心身を引き締め、文化祭を心待ちにしている。
 (岸本健通信員)