日本軍壕の調査終える 厚労省「早期の試掘が大事」 沖縄・伊江島


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「日本兵がいる壕があった」との村民証言が寄せられた地点で、地形などを確認する厚生労働省の担当者ら=8日、伊江村東江上

 【伊江】沖縄戦の伊江島の戦闘で、日本軍の部隊106人が戦死した壕(ごう)の特定に向けた現地調査で、厚生労働省は最終日の8日、新たに住民から壕に関する証言が得られた地点の状況を確認した。地理的条件などから、7日に調査した村家畜市場東の段丘の一角に壕がある可能性が高いと判断。2023年度中に同地点を試掘する方向性をあらためて示した。

 8日は沖縄戦の激戦地・城山の北約1.3キロの「ミナト原(ばる)」と呼ばれる一帯で2地点を調査した。昨年11月、村民から「日本兵がいる壕があった」との証言が寄せられた場所では地形を確認。見晴らしがよく攻撃されやすいと想定されることなどから「大規模部隊を配置した壕があるとは考えにくい」とし、通気口の証言もある家畜市場の東の可能性が高いと判断した。

 1986年の国調査で12人の骨を収骨した壕の跡では、試掘の参考として地質などを確認した。

 厚労省社会・援護局事業課事業推進室の手塚直樹室長補佐は「全体を見て状況が把握できた。戦後、米軍が入って地形が変わったり、壕が埋められたりしている。早く試掘調査することが大事だ」と話した。
 (岩切美穂)