うるまに実証実験ホテル タップホスピタリティラボ沖縄 最先端おもてなし検証 人材育成、学校とも連携


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6月にうるま市に開設する実証実験ホテル「タップホスピタリティラボ沖縄」の完成予想図(提供)

 ホテルのコンサルティングやシステム開発などを行うタップ(東京、林悦男会長兼社長)は、6月にうるま市のIT津梁パーク内で実証実験ホテル「タップホスピタリティラボ沖縄(THL)」を開設する。一般客の宿泊はできないが、実際のホテルさながらの設備を整備することで、先端テクノロジーによるサービスを具現化するためのさまざまな実験が可能となる。

 コロナ禍の影響が和らぎ観光が活発化する中で、宿泊業界では人手不足が深刻化している。THLによって産学官連携でホテルの諸課題に対応する次世代モデルを築き、沖縄から生産性や付加価値を高めた新たな観光の在り方を発信する。

 THLは約8400平方メートルの敷地に立地し、地上7階建て。実験用客室38室をはじめ、会議室やレストラン、駐車場などを完備する。国内大手の電機メーカーや情報通信事業者などが参画を予定しており、ロボットによる清掃や飲食提供、障がい者への対応、荷物の自動配送、あらゆるサービスを統合管理するシステム開発などをテストする。

 タップによると、ホテル向けの先端技術を用いたサービスは従来からあるものの、実際に現場で運用されてから問題が明らかになるケースもあるという。THLは生産性向上以外に安全性の確保という点でもメリットがある。

 一般客は利用できないが、ホテルや観光関係者の利用は可能。プロの目線で実験の視察やサービス内容のモニターの役割を担ってもらい、知見をサービスの改善に生かす。琉球大や沖縄工業高等専門学校とも連携し、ホテル人材の育成にも取り組むことにしている。

 タップの手塚秀行会長付秘書役は「ホテルのホスピタリティー(おもてなし)をテクノロジーで担えないのかを再検証するべきだと思う」と語り、生産性を向上させるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現へ、発想を転換する必要性を強調する。

 「人とテクノロジーとの共生で、例えば障がい者を積極的に雇用することもできるかもしれない。県内のメーカーやベンチャー企業などとも連携し、THLによって沖縄を観光立県のモデルにしたい」と話し、テクノロジーでリゾート地沖縄のあらゆる産業の生産性を向上させる『リゾテック』の推進・実現にも貢献したい考えを示した。 (小波津智也)