コロナ禍、完成延期…「苦しかったけど…復興の象徴に」第一牧志公設市場オープン、組合長の思い


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第一牧志公設市場とまちぐゎーへの思いを語る粟國智光さん=2月、那覇市松尾の同市場前

 「2022年にまたこの場所で会いましょう」。旧第一牧志公設市場が営業を終えた2019年6月16日、同市場組合長の粟國智光さん(48)は集まった人々に誓った。あれから約4年。コロナ禍や完成延期を乗り越えてのオープンに「苦しかったが、盛り返していく。新市場は復興の象徴になる」と語る。

 コロナ下で組合は市に家賃減免を訴えたり、市中心商店街連合会で行政の支援制度を案内する窓口を設けたりして事業継続を支えてきた。

 待望のオープンだが、粟國さんは「市場と隣接する中央通りのアーケードが再整備される日が、本当の市場再整備の完了だ。市場とまちぐゎー(商店街)は運命共同体だ」と先を見据える。

 コロナ禍前、市場周辺の商店街は観光客でにぎわった。一方、2021年度の市民意識調査では、まちぐゎーに「全く行かない」と答えた人が40.2%と過去最多を更新し、地元客離れが課題となっている。粟國さんは「地域の子どもたちが市場で調理体験をし、壺屋焼の器で食べるプログラムを企画するなど、地元とのつながりを強めたい」と展望する。

 将来、市場が公設民営になる可能性を視野に入れ「市場や周辺の事業者も関わって管理運営ができる組織づくりをしていきたい」と話した。

(伊佐尚記)