沖縄県那覇市の米軍那覇港湾施設(那覇軍港)に18日に陸揚げされていた米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ1機が20日午後4時すぎ、那覇軍港を離陸し、宜野湾市の米軍普天間飛行場に着陸した。那覇軍港での航空機の離着陸を巡っては、軍港の使用主目的を「港湾施設および貯油所」とした沖縄の日本復帰時の日米合意(5・15メモ)に反するとして、県は繰り返し中止を求めていた。
離陸した機体は、陸揚げ後は那覇軍港に駐機し続けていた。20日午前にエンジン吸気口のカバーを外すなど飛行準備作業を始め、午後に飛んだ。
県は19日に「那覇軍港での航空機運用は県民に不安を与える」として、陸揚げされたオスプレイを飛行させないことを米軍に働きかけるよう沖縄防衛局に要請していた。
玉城デニー知事は20日、航空機の離着陸中止を繰り返し要請する中で、再び事前連絡がないままオスプレイが軍港から離陸したとして「県民の思いをないがしろにするもので、甚だ遺憾だ」とコメントした。
一方、那覇市の知念覚市長は軍港での航空機の離着陸について①市への事前通報②事前通報の市民への公表③安全確保―を求めていた。17日に事前通知があり、オスプレイが海側へ離陸したことを踏まえ「市民への公表については米軍が『控えてほしい』ということだったが、あとの二つは確認できた。一定の前進はあった」と評価した。
(武井悠、知念征尚、伊佐尚記)
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