辺野古新基地建設に伴う埋め立て海域のサンゴ移植を巡り、沖縄県は24日、裁判闘争が続いていることを理由に、移植を許可する考えはないことを農林水産相に回答した。沖縄防衛局が申請したサンゴの特別採捕許可を県が不許可としたのに対し、農相は昨年12月、県の不許可処分を取り消す裁決をしていた。県の回答を受け、特別採捕を許可するよう国が県に求める「是正の指示」などが行われる可能性がある。
採捕許可の申請対象となっているのは大浦湾側の小型サンゴ類約8万4千群体、ショウガサンゴ8群体と大型サンゴ類21群体だ。
農相は県の不許可処分を取り消した後も、サンゴの移植を許可しない県の対応は漁業法に違反するとして、今月17日付で「許可処分をするよう」県に勧告し、24日までの対応を求めていた。
県は勧告に対する回答で、大浦湾側の埋め立て工事については軟弱地盤の改良に伴う設計変更を巡り、3件の裁判が争われていることを指摘。
昨年12月のサンゴ移植に関する取り消し裁決は、設計変更申請を不承認とした県の判断を取り消した国土交通相裁決と是正の指示が有効であることを前提としており、「重大かつ明白な瑕疵(かし)に該当する」と農相の判断を問題視した。
(知念征尚、安里洋輔)