名護市の養鶏農家「いなみねエッグファーム」(桑江良幸代表)は4月から、6次産業化を目指して新たな経営計画を進める。生産のみならず、卵を自ら消費者やスーパーに販売する小売業に乗り出す。鶏卵の洗浄・選別を担うJAおきなわの「北部GPセンター」(名護市)がうるま市の施設へ統合された場合には北部の養鶏業者が多大な影響を受けるとし、将来的にGPセンターを設立する案も盛り込んだ。
いなみねエッグファームは、22万7500羽を飼養する県内最大の養鶏農家。卵は北部GPセンターでの洗浄・選別をへて、JAを通じて県内スーパーや卸業者へ販売されている。
養鶏業を巡っては昨年、北部GPセンターをうるま市の県鶏卵食鳥流通センターに統合するJAの計画が浮上。1キロ当たりの処理単価も現行の22・5円から7・5円増額されることになり、北部の養鶏農家から反対の声が上がった。JAは県内での高病原性鳥インフルエンザ発生も考慮し、北部GPセンターを継続する方針を決めた。
ただ、処理料が増額となる見込みは変わらず、えさ代高騰などの厳しい経営環境もあり、経営計画の策定に至った。六次化を見据え、今後はまず北部GPセンターで洗浄・選別された卵を買い戻し、希望先に自ら販売する小売業に取り組む。
販売価格は、サルモネラ菌の予防接種を実施している付加価値を踏まえて、相場に10円程度上乗せする考え。桑江代表は「六次化を目指し、新鮮で安心安全な卵を沖縄全島に供給できるよう使命を果たしていく」と語った。
(當山幸都)