東京都議会に「辺野古議論」求め意見書提出へ 小金井市議会が陳情採択 30代の沖縄県出身者が提出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「新しい提案」実行委員会の米須清真さんが小金井市議会に提出した陳情書(市議会ウェブサイトより)

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題を巡り、東京都小金井市議会はこのほど、全国的な議論による問題解決を求める陳情を賛成多数(賛成12、反対9、退席1)で採択した。陳情は、「新しい提案」実行委員会の委員で、小金井市に住む県出身の米須清真さん(34)が提出した。採択した陳情の要請を受け、市議会として東京都や都議会に国への働き掛けを求める意見書案が、4月の市議会本会議に議員提案される予定だ。

 小金井市議会は2018年、国民的議論による解決を国に求めるよう要請する陳情を、全国で初めて採択した経緯がある。3月20日に可決した今回の陳情は、同じ内容を東京都と都議会に働き掛けるよう要請している点が特徴だ。米須さんによると、都道府県議会への働き掛けを市町村議会に求める陳情の採択は全国で初めて。

 米須さんが市議会に提出した陳状趣旨は、19年に沖縄で実施された辺野古埋め立ての是非を問う県民投票に触れ、「国家の安全保障に関わる重要事項なら、政府のみならず東京都と都民も沖縄が直接示した声に耳を傾け、憲法に基づいた公正かつ民主的な解決を図ることが求められている」と訴えている。

 市議会関係者によると、陳情はいったん総務企画委員会に付託されて不採択となった。だが、与野党の勢力比が異なる20日の本会議では一転して、無所属議員を中心に共産系会派や立憲民主議員の賛成で採択に至った。自民や公明関係の会派などが反対した。

 賛成した議員たちは、4月24日の臨時会での意見書案可決に向けて文言調整を進めている。

 沖縄県議会は20年に、普天間飛行場の運用停止と名護市辺野古の新基地建設中止、在沖米軍基地の負担軽減について「国民的議論を深め、民主主義および憲法に基づき公正に解決することを求める意見書」を可決した。だが、その後、全国の地方議会への働き掛けを求める陳情については20年から継続審議が続いており、採択に至ってない。今回の小金井市議会の陳情採択について、米須さんは「地方議会から地方議会への陳情採択、意見書可決という前例をつくることができた。沖縄県議会での議論もこの影響を受けて前に進んでほしい」と期待を込めた。

 県の調べによると、少なくとも全国61の地方議会で、辺野古新基地建設について国民的議論で問題解決を求める意見書や陳状が可決・採択されている。米須さんは「さらに採択する議会が増えてほしい」と語った。

 玉城知事は2月の県議会で県政運営方針を述べた際、その採択状況に言及し「全国において沖縄の基地問題について議論が深まりつつあることの表れ」と強調。「新しい提案」がつくり出した全国議論を後ろ盾に、県としても県外への情報発信に力を入れる考えだ。
 (明真南斗)