沖縄戦を学び、防ぐ 記憶継承プロジェクトが始動


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 「沖縄戦の記憶継承プロジェクト」の第1回講座が1日、琉球新報社で開かれた。語り部となる人材の育成を目的に、8月まで計10回の講座で沖縄戦の史実や背景、継承の在り方や現在への影響などを幅広く学ぶ。

 学生やジャーナリスト、会社員など20~60代の約20人が集まった。共同塾頭の垣花豊順琉球大名誉教授は「第32軍司令部壕が保存公開に向かう中、沖縄戦を体系的に学ぶことが大事だ。将来の戦争を阻止するという大きな志を持ったプロジェクトでもある」と意義を説明した。

 共同塾頭の志良堂仁琉球新報社執行役員総務企画局長は「アジア太平洋戦争で新聞は戦意高揚の記事で県民を戦場に駆り立てた重い戦争責任がある。新たな戦前と言われる今、歴史を学び考えてほしい」と促した。

 第1回は、講座座長で沖縄戦研究者の石原昌家沖縄国際大名誉教授が継承における住民体験「証言」の重要性について語った。証言は、沖縄戦の実相を伝える資料として重視されている。多くの住民から体験を聞き取った経験を踏まえ「証言は事実だが真実ではない場合もある」と述べ、裏付けや全体像を見る必要も指摘した。

 記憶継承プロジェクト実行委には、琉球新報社も創刊130年記念事業として参画している。(中村万里子)