【記者解説】なぜ今、人手不足なのか コロナ禍前からの課題が顕在化 小規模企業に必要な「共有」「連携」


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 沖縄県内中小企業の多くは新型コロナウイルスの感染拡大でダメージを受けた経営体力が回復しないまま、原材料価格高騰による費用の増加と、物価上昇に伴う従業員の賃上げの必要性の間で板挟みとなっている。経済が活発になるにつれて、人手不足は再び顕在化している。さらにコロナ禍を経た労働者の価値観の変化も加わり、問題は一層深刻化している。バスやタクシーの運転手、観光・飲食業などは休業中に離職した人材も多く、企業からは「離職した人にも復職を呼び掛けているが、難しい」という声もあった。

 今回の調査では、コロナ禍以前からの課題が鮮明となった。人材育成や定着がうまくいかず、技術者やマネジメント層といった育成に時間のかかる中核人材が不足している。県外よりも賃金水準が低く人材が流出することも長年の課題だ。

 目の前の従業員を大切に育てると当時に自社のあるべき姿を描き、事業計画、人材育成計画を立てることが経営者には求められる。一方で回答を寄せた企業の6割強が従業員20人以下と規模が小さいことから、研修体制の確立などは1企業だけでは難しい部分もある。行政や経済団体を通じた企業間の連携、成功事例の共有などもさらに進めていく必要があるだろう。

(玉城江梨子)