【識者談話】人材定着策の再検討を 沖縄の中小人手不足 島袋隆志・沖縄大教授


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島袋隆志・沖縄大教授

 今回の調査からは沖縄県内中小企業の人材不足が深刻であることが浮かび上がってくる。基本的労働力だけでなく、中核業務を担う「技術者」や、組織運営を担う「マネジメント層」が不足する状況もある。こうした中核人材には、採用・確保だけでなく人材定着策の再検討が必要で、もしそれができなければ、有能な中核人材であるほどに他社へ労働移動が可能であり、企業側にとってはリスクとなる。

 特に若年人口が減少する時代において、企業経営にとって人材不足は「経済的影響」、「成長投資への阻害」、「職場環境の過重」の問題をもたらしている。

 こうした状況に、若者は敏感かつ冷静だ。今春の卒業生にも「卒後の進路選択は焦らない」という学生が少なくなかった。コロナ禍でアルバイトのシフト減など企業行動に翻弄(ほんろう)された若者らは、焦って問題を抱える企業に就職すると職場の問題を一身に背負わされると警戒して、より就職先を厳選しようと若者なりの自己防衛をしているようにも見える。

 企業経営者は、売り上げ・利益確保のために緻密なマーケティングや経営戦略を立てるのと同様に、人口減など社会的な制約条件の中にあっても人材確保のために自社の現状をどのように改善していくのか、将来にわたってより重要な経営課題と捉え改善していく対応が求められている。

(雇用関係論)