沖縄の中小企業、人手不足で従業員の負担増 疲労による生産性低下も 〈人が足りない〉㊤


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 琉球新報社と県中小企業家同友会が共同で実施した人手不足に関する調査で、人手不足の原因(複数回答)について32.3%に当たる31社が生産年齢人口の減少を挙げた。次いで特別な資格や技術が必要(27社、28.1%)、高水準の賃金や福利厚生が整備できない(25社、26%)、退職者の増加(21社、21.9%)などと続いた。

 「その他」を選んだ企業からは「業界的に価格競争が著しい」「同業他社との優位性が低い」といった企業経営側の問題とともに、「若者の就職に対する考え」「技術やスキルを身に付けられる仕事に魅力を感じられていない」「採用しても思っていた仕事と違うと辞めていく」という求職者の意識の変化に言及する回答も目立った。

 人手不足の影響(自由記述)は多岐にわたっているが、「経済的影響」「成長投資への阻害」「職場環境の悪化」の三つに大別される。

 「経済的影響」では、売上高の減少、熟練技術者の不足による受注の見合わせ、営業時間の短縮などがあった。

 成長投資への阻害は新規事業や既存事業拡大の見合わせなどが挙げられた。

 最も多かったのが、従業員の疲労による生産性低下、既存スタッフの業務負荷の増大、管理職が休みを取れない―などの職場環境の悪化だ。人手不足で売り上げが減少する一方で、既存従業員の労働環境が悪化し、さらに離職を招きかねない窮状がうかがえる。

 「今後影響が出る可能性があるため、今のうちに手を打つ必要がある」という意見もあった。
 (玉城江梨子)