沖縄・久志沿岸にジュゴンのふん 辺野古新基地予定地近く、食み跡最多


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
古宇利大橋周辺の海草藻場で確認されたジュゴンの食み跡(県自然保護課提供)

 絶滅が懸念されている国指定天然記念物ジュゴンのふんが、沖縄県名護市久志や宮古島市の伊良部島の沿岸部で発見された。県が6日、ジュゴンの生息状況などに関する2022年度報告書をまとめ、発表した。食(は)み跡調査でも、本島北部周辺海域の海草藻場11地点で確認された。県が調査を始めた17年度以来最多の確認で、ジュゴンが本島や先島諸島周辺海域で生息していることが改めて明らかになった。

 名護市久志は新基地建設が進む大浦湾周辺海域の南西に隣接し、ふんは22年7月にマリンレジャーをしていた市民が発見した。海草が付着し、排せつから数日以内のものとみられ、分析の結果ジュゴンのDNAが検出された。県の調査では、大浦湾周辺海域でのジュゴンの痕跡を確認したのは初めて。沖縄近海で発見されて現在生息している可能性のある2頭との関係は分かっていない。

 国は「工事によるジュゴンへの影響はない」としているものの、報告書は国に、調査の見直しを求めている。自然保護課の担当者は「ふんという明確な情報が見つかった。生息しているかは判断できないが来遊や餌を食べるために藻場に近づいていることは間違いないと思う」と話している。

 伊良部島では6月に漁業者がふんを採取した。

 食み跡調査は本島周辺8カ所を対象に、ドローンによる空撮や潜水によって実施した。古宇利島・屋我地島周辺で6地点、伊是名島周辺で5地点確認されており、古宇利島・屋我地島周辺では2年ぶり、伊是名周辺では3年連続となる。
 (小波津智也)