【識者談話】ジュゴン生存、鳴き声より動かぬ証拠 ふんや食み跡 安部真理子・日本自然保護協会主任


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安部真理子氏(日本自然保護協会主任)

 これまで多くの目撃情報がある中、一部では「絶滅している」と言われることもあったジュゴンの生息がきちんとした形で証明された。広大な海でふんを発見するというのは確率的にも非常に難しい。食(は)み跡に関しても、2~3週間で跡が消えてしまうので、少ない調査回数の中で発見できているのは、ジュゴンの存在を確かなものにしている。

 以前から確認されていた個体なのか新たな個体かは分からないが、ふんが見つかった大浦湾は県内最大の藻場で、以前はジュゴンのお気に入りのえさ場だった。

 2020年に鳴き声が確認され、知事が辺野古新基地建設の工事中止を求めたが、受け入れられなかった。今回は鳴き声よりも動かぬ証拠だ。県は改めて国に調査の必要性を訴え、工事の中止を要請してほしい。