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観光客の志向、体験型にシフト クルーズ船の寄港再開 <けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 先月、沖縄県に国際クルーズ船が3年ぶりに寄港しました。クルーズ船が寄港する那覇港近くの観光スポットである国際通りでは多くの観光客でにぎわい、コロナ禍以前のような光景が見られます。コロナ感染者数は減少傾向にあり、マスクの着用が個人の判断になるなど、収束の兆しが見られます。

 昨年の10月ごろから、沖縄県における国内観光客はコロナ禍以前のように戻ってきていますが、外国人観光客は戻ってきていません。県内には国際クルーズ船で多くの外国人観光客が訪れていたため、今回の国際クルーズ船の再開によりインバウンドの見込みが大いに期待できます。しかしクルーズ船で沖縄本島に訪れる観光客は滞在時間が短く県内での消費額が少ないといった課題点も挙げられます。那覇港に寄港するクルーズ船で滞在時間が短い船では入港午前8時半、出港午後2時半と滞在時間が6時間しかない船もあります。2023年に那覇港に寄港する予定のクルーズ船112船中、オーバーナイト船は19船と少なく、宿泊せずに出港する船が多いのが現状です。コロナ禍以前は外国人観光客がドラッグストア等で「爆買い」していましたが、今ではあまり見かけません。観光客の志向はコロナ禍以前とは違った観光スタイル、モノ消費から、コト消費、さらにトキ消費(その瞬間にしか味わえない体験に参加する消費行動)にシフトしています。沖縄県の観光産業はこれまでとは違ったサービスを提供していくことで、クルーズ船で訪れる観光客の消費拡大も期待できるのではないでしょうか。

(おきぎん経済研究所 比嘉帆菜)