沖縄の基地面積、3年連続「増」 自衛隊拡大、米軍返還は減速 普天間返還合意27年


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 米軍普天間飛行場の返還に日米が合意して12日で27年。県内の米軍専用施設と自衛隊施設を単純合計した総面積は2019年以降、3年連続で総面積が増加していることが分かった。3年合計で53.4ヘクタール増えた。1972年の沖縄の日本復帰後、米軍専用施設の削減が進められたが、近年は米軍施設の減少ペースが鈍化する中で自衛隊施設が増えたことが背景にある。

 沖縄の基地負担軽減に向けた取り組みは足踏みが続く一方、防衛力の「南西シフト」が進み、日米の共同訓練拡大も見込まれ、沖縄の基地負担は質、量ともに増加に転じつつある。

 県が発行する「沖縄の米軍及び自衛隊基地」によると、沖縄が復帰した72年5月、県内の防衛施設面積は米軍専用施設が2万7892・5ヘクタール、自衛隊施設が166・1ヘクタールだった。

 最新の21年の数字は米軍専用施設が1万8483・3ヘクタールとなり、復帰時と比べて3割以上減った。一方、自衛隊施設は779・8ヘクタールとなり、復帰時から4・6倍に拡大した。

 これまでは自衛隊施設の拡大を上回るペースで米軍専用施設の返還が続いたため、両施設を足し合わせた総面積は復帰時の2万8058・6ヘクタールから、18年には1万9209・7ヘクタールまで減った。

 ただ、足元では16年の米軍北部訓練場の過半返還を最後に米軍施設の大規模返還にブレーキがかかった。一方で自衛隊の拡張は続き、19年以降は総面積の減少に歯止めがかかった形だ。

 南西諸島の防衛力強化が進められる中、玉城デニー知事は、沖縄の基地負担軽減について「米軍と自衛隊を併せて考える必要がある」との考えを示しており、沖縄の基地負担拡大に警戒感を強めている。
 (知念征尚)