闘牛記者が33年間書き留めた資料 1960年代からの対戦表や写真 前宮さん家族が連合会に提供 沖縄


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闘牛記者の故前宮清好さんが残した対戦表などの資料を手にする前宮さんの次女の安慶名冴子さん(右)と孫の一輝さん=3月27日、うるま市

 【うるま】琉球新報の闘牛記者として33年間にわたり活躍した前宮清好さん(2003年没)の家族がこのほど、前宮さんが書き留めていた闘牛に関するメモや写真などを県闘牛組合連合会に提供した。第1次闘牛ブームとされる1960年代からの闘牛史を物語る貴重な資料となる。次女の安慶名冴子さん(71)は「(父は)闘牛の発展が使命と考えていたので、活用してもらえたら喜ぶだろう」と話した。

 前宮さんは、琉球新報社在職中から闘牛の報道に関わり、琉球電電公社(後の日本電電公社、NTT)への転職後も嘱託の記者として闘牛を担当した。大会記録のほかにも、面白さを紹介する「闘牛知識」やこぼれ話をまとめた「闘牛余話」などの連載を担い、1972年には著書「沖縄の闘牛」を出版した。

 幼い頃は前宮さんの取材に同行していた安慶名さんは「北から南までどこまでも行き、熱心に牛主から話を聞いていた姿を覚えている」と振り返る。記事に対して納得がいかない牛主から抗議を受けることもあったが、「とにかく細かく調べるものだから自信もあったのでしょう」。

前宮清好氏

電話口で牛主に言い返す姿もしばしば見かけたという。

 60歳で自動車運転免許を取得し、体調を崩して亡くなる直前まで、闘牛取材を続けていたという前宮さん。孫の安慶名一輝さん(43)も「部屋がとにかく闘牛の資料だらけで、いつも机に向かって執筆しているイメージだった」と話す。

 今回提供した資料は、60年代からの大会の対戦表や写真などを段ボール箱3箱分。安慶名さんは「残してくれた資料は、沖縄の闘牛のためにきちんとみんなで守って行くからね、と(父に)伝えたい」とほほ笑んだ。
 (新垣若菜)