初めの一歩 自分自身を大切な存在に 真栄田若菜(一般社団法人IAm(アイアム)共同代表理事)<女性たち発・うちなー語らな>


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真栄田若菜

 一般社団法人IAmの設立の背景には、沖縄の女性は二重にも三重にもハンディを背負わされている、という問題意識がある。

 沖縄では女性が経済的に困窮し、子どもの貧困率も高くなるという貧困の連鎖が起きている。さらに、位牌(いはい)継承文化などにみられるジェンダーバイアスや、性別役割分担意識が今でも根強く残っており、これらの要因が、沖縄女性の生きにくさ、自己研磨や自己実現への障壁、男性との賃金格差、そして沖縄女性ひいては子どもの貧困の負の連鎖につながっている。私たちは、沖縄女性同士の「励ましのつながり」を広げることにより、この負の連鎖を断ち切りたいという思いから、IAmを設立した。

 そんな私だが、いまだに自分に自信がなく、他人と内向的な自分を比べ落ち込みがちだ。このコラムの連載のお話をいただいた時も「私よりもっと適任の女性がいるはず」と思い、他の女性を推薦し、辞退しようかと迷った。そんな時、あることを思い出した。

 専門学校で教えていたころ、授業の中で女子学生数名に友人の素晴らしいと思う点を互いに挙げてもらった。ある女子学生は、自分はネガティブ思考で人見知りだと話した。しかし彼女の友人は「あなたは思慮深く、周囲をよく観察しリスクを察知できる。そして信頼する友人を心から大切にできる」と言葉をかけた。

 他の学生も友人の長所を多く挙げ、「もっと自分に自信を持ってほしい」と熱く励ましの言葉をかけた。一方で、自分のこととなると、自分を卑下し自分に自信が持てない学生が圧倒的に多かった。それが、彼女たち、いや、私たちが一歩前に踏み出すことを諦めることにつながってしまうのではないか、と気づいた。

 IAmでは、自分らしいキャリアを切り開いてきた女性ゲストとつながるネットワーキングカフェを開催している。女性同士が語り合い、「励ましのつながり」を作る場を提供し、女性の自分らしいキャリアや生き方を応援する活動を行うことが狙いだ。

 女性ゲストからのメッセージに共通しているのは、「自分には無理」と考えるのではなく「まずは挑戦してみてほしい」という励ましの言葉だ。彼女たちはその言葉を自分自身にもかけて挑戦してきたのだと勇気をもらった。

 沖縄の女性たちへ。自分自身を大切な友人と捉え、その友人に励ましの言葉を送り、新たな一歩を踏み出す力にしよう。そして自分の枠を超えたドキドキするチャレンジを共にしよう。私にとってこの連載がその最初の一歩だ。
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 まえだ・わかな 一般社団法人IAm(アイアム)共同代表理事。2021年に同法人を設立し、友人と共に「沖縄女性のエンパワーメント」を目的に掲げ、沖縄若年女性の自分らしいキャリアや生き方を応援する活動に取り組む。那覇市出身。