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企業の返還支援に期待 県内大学生の奨学金貸与率 <けいざい風水>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 近年、若年層の未婚化問題やブラックバイトといった社会問題に関連して、学生の奨学金負担について注目が集まっています。

 奨学金支援の中核機関である独立行政法人日本学生支援機構のデータをまとめてみると、沖縄県の大学生における奨学金貸与者は8201人(2020年度末時点、短大除く)であり、学生数全体の約46・0%、およそ2人に1人が奨学金の貸与を受けている状況となっています。

 全国をみてみると約32・7%となっており、沖縄が10ポイント以上高くなっていることが分かります(日本学生支援機構以外の奨学金は含みません)。

 次に、奨学金返還における延滞率をみてみると、沖縄では約5・6%、全国は約3・8%と、沖縄が2ポイント程度上回っている状況となっています(過去5年間の貸与終了者に占める延滞1日以上の割合)。例えば、会社に大卒の従業員が40人いたとしたら、そのうち18人は奨学金を借りており、そのうち1人は奨学金の返還を延滞してしまっている計算になります。

 このような状況を踏まえ、企業側が福利厚生の一環として、社員の奨学金返還を支援する取り組みが広がっています。こうした取り組みに対して沖縄県では、企業が従業員に対して行う奨学金返還支援に対し、企業が負担する経費の一部を補助する事業を行っており、現在、同制度を導入した県内企業は16社となっています。このような取り組みがまだの企業はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

(おきぎん経済研究所研究員 與那覇徹也)