父を病で亡くし、一度は諦めた進学 沖国大の金城さん、善意で夢を実現 あしなが学生募金、街頭で呼び掛け


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あしなが学生募金県代表の金城美結さん=22日、那覇市牧志の国際通りのれん街

 病気や災害、自殺で親を亡くした子どもの進学を支援する「あしなが学生募金」が22日、沖縄県那覇市牧志の国際通りのれん街前で行われた。あしなが学生募金県代表の金城美結さん(20)=沖縄国際大3年=も参加。金城さん自身も奨学金を受ける遺児大学生で「皆さんのおかげで進学できた。チャンスをいただいた」と感謝を胸に街頭で協力を呼びかけた。

 あしなが学生募金は年2回行われ、前回は22年11月に3年ぶりに実施された。22日は、奨学金を受けて県内の大学に通う大学生6人と、沖縄カトリック中学高等学校のボランティアの生徒たちが募金活動に参加した。通りがかりの人や観光客らが募金に応じていた。

 県内には23年3月時点で188人のあしなが奨学生がいる。あしなが学生募金事務局は「コロナ禍や物価高騰によって遺児家庭が受けている経済的な打撃は依然として大きく、遺児たちの進学の夢を守るには奨学金が欠かせない」と窮状を訴える。募金は23日も国際通りのれん街前で正午から午後6時まで行われる。

 あしなが学生募金県代表の金城さんは、中学の頃に病気で父親を亡くした。高校の頃、一度は大学進学を諦め、卒業後は就職するつもりだった。そんな時にあしなが学生募金の存在を知り、大学進学をかなえることができたという。母親は「自分の好きなことをしてほしい」と応援してくれた。亡くなった父親も「寡黙だったがかわいがってくれた。もし生きていれば、進学を後押ししてくれたと思う」とおもんぱかる。

 現在は、貸与と給付の奨学金を受けながら、沖縄国際大企業システム学科で会計を勉強する。今の夢は、支えてくれた沖縄に“恩返し”することだ。将来は「具体的に決まってない」としつつ、「いつか沖縄に貢献したい」と笑顔を見せた。

(中村万里子)