与那国島にPAC3を初搬入 北朝鮮「衛星」発射に備える準備命令受け


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与那国島

 北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備え「破壊措置準備命令」が出されたことに伴い、防衛省・自衛隊は23日、与那国島(与那国町)に航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の発射機が搭載された車両を輸送機で搬入した。与那国島へのPAC3展開は初。同日午前に関連車両や部隊を載せて福岡市の博多港を出た民間船は25日にも与那国島へ到着する見通し。

 県空港課によると、与那国空港には空自のC2輸送機が23日午前11時半に着陸し、午後1時20分に離陸した。

 新石垣空港には23日午前10時10分にC130H輸送機が着陸し、関連車両を降ろして同11時10分に離陸した。関係者によると民間船の他、海上自衛隊の艦艇も使った装備輸送を調整している。

 北朝鮮は今回、発射方向や期間を明らかにしていないが、関係者によると、政府は北朝鮮が衛星として事実上の弾道ミサイルを南西諸島方面向けに発射するとみている。

 県内では空自の那覇基地や知念分屯基地、恩納分屯基地にPAC3が配備されている。離島には配備されておらず、福岡県内の空自基地から展開する。

 防衛省によると、北朝鮮は19日、金正恩朝鮮労働党総書記が完成した「軍事偵察衛星1号機」を計画期間内に打ち上げるよう指示したと発表した。

 自衛隊による迎撃を可能とする破壊措置命令は、北朝鮮の相次ぐミサイル発射を踏まえ、16年8月以降に常時発令された状態となっている。浜田靖一防衛相は22日、自衛隊に準備命令を出し、発射されれば対応できるように準備を進めている。(明真南斗、沖田有吾)