県内で賃上げを予定する企業の割合は? 総合事務局が23年度調査 全国と比較した地元企業の傾向を分析


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 沖縄総合事務局は25日までに、県内企業の賃金引き上げ動向をまとめた。2023年度に「ベースアップ(ベア)を行う」と回答した企業は45.7%で4割を超えた。前年度より8.9ポイント増加したが、全国の62.1%を大きく下回った。賃上げ率が3.0%以上となる企業の割合は、ベアと定期昇給、賞与などを加えた場合に61.5%となり、わずかに全国を上回った。

 賃上げ理由は「社員のモチベーションの向上・待遇改善・離職防止」が最多で9割を超えた。コロナ禍の制限緩和などで県経済が回復に向かう一方、人手不足感が強まっている。沖縄総合事務局の鈴木徹財務部長は「県内の賃上げは人材確保、離職防止のために出てきたと思う」と分析し「ベアや定昇は将来的な負担につながることから、賞与などで対応している姿勢が見える」と話した。

 有効回答社数は22年度が38社、23年度が35社だった。ベアの動向と同様に「定昇を行う」と回答した企業の割合も全国より下回ったが、前年度比では2.4ポイント増え77.1%だった。現場からは「売り上げ減少で賃金引き上げできる状況にないが、離職防止や同業他社の動向を踏まえ引き上げざるを得ない」などの声が上がった。

 鈴木部長は「物価高の最大の処方箋は賃上げだ。(今回の調査で)全国に及ばないが、確実に賃上げしている確認はできた。賃上げの機運が高まって所得向上に伴う好循環を期待したい」と述べた。
 (謝花史哲)