あちこーこー豆腐、存続に光 厚労省が手引書の改訂を容認へ 安全性保障が条件


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手早く袋に詰められるあちこーこー島豆腐

 【東京】2021年6月から国際的な衛生管理基準HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務付けられ、対応が難しい県内の島豆腐業者の廃業や生産減が相次いでいる件で、厚生労働省が26日、安全性を保証する科学的知見を条件に、衛生基準を定めた小規模事業者向けの「手引書」の改訂を認める方針を示した。

 手引書では製品温度が55度を下回ってから3時間以内の消費などが義務付けられており、基準を満たせず納品できないなどの訴えが相次いでいた。手引書の見直しで基準が緩和されれば、「あちこーこー」の島豆腐の流通も一定程度回復しそうだ。

 同日の衆院沖縄北方特別委員会で、伊佐進一厚労副大臣が明らかにした。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

 赤嶺氏は、ハサップに沿った手引書に触れ「豆腐の温度が新たに設けられた基準温度より下回っていたため、納品できなかった事例や通常の3分の1しか納品できなかった事例がある」と指摘。「安全性と事業の継続が両立できるような観点から厚労省にはぜひ検討してほしい」と手引書の改善を求めた。

 伊佐氏は「事業者団体が(手引書改訂の)必要性を判断し、それに対して必要な科学的知見を添えて厚労省に相談すれば確認する」と答えた。

 赤嶺氏から「手引書の策定に加わる業界団体が改定改善を求めれば、その手引書は改定はあるという理解でいいか」と確認を求められ、「法律はあくまでその枠組みを定めているもので、法律の改正(の必要)はない」との認識を示した。

 答弁を求められた岡田直樹沖縄担当相も「島豆腐も含めた沖縄の食文化は長い歴史の中で生活に根付いており、沖縄の魅力の一つだ」とし、「業界の方々に対する支援策ができるかどうかを考えたい」と述べた。
 (安里洋輔)