元里親夫妻、損害賠償求め沖縄県を提訴 委託解除手続きの違法性を主張 沖縄・那覇地裁


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提訴に向け、那覇地裁に入る元里親=27日午前、那覇市(小川昌宏撮影)

 生後2カ月から5年以上養育していた児童の里親委託を2022年1月に児童相談所から解除された那覇市の元里親夫妻が27日、解除までの県側の対応が違法だったとして、県に計300万円の損害賠償を求めて那覇地裁に提訴した。県側は里親委託に必要な親権者の同意を実親が撤回したと説明していた。夫妻側は、県側が実親に夫妻について虚偽の内容を伝え、委託解除に誘導するなどしたとしている。

 訴状によると、児相は16年夏に児童を夫妻に委託した。21年2月、子どもを引き渡すよう実親が求めていると夫妻に伝え、同3月には生みの親の存在を伝える「真実告知」を求めるようになった。

 夫妻側は、児童の発達の特性を理由に告知時期の調整を求めた。児相は応じず、実親が委託の同意を撤回したとして、22年1月に夫妻の里親委託を解除した。

 夫妻側は、委託解除手続きの不当性に加えて、児相や嘱託弁護士から児童を引き渡さなければ誘拐罪になりうるとした文書への署名を迫られたことの違法性を主張している。

 同日、県庁で会見した夫妻は訴訟は慰謝料目的ではなく、里親制度において「つらい思いをさせられている児童を一人でも減らしていくこと」を強調した。玉城デニー知事は提訴について「内容を確認して今後の対応を検討していきたい」とコメントした。