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近年は、世界的な社会的混乱からの復興、資源高騰を含む歴史的物価上昇などの動きも加わった特殊な時期であり、県内企業を取り巻く環境も大きく変わりました。
ここで、既存調査を用いて企業マインドの変化を少し整理したいと思います。具体的には、企業の景況感を示す業況DIと経営指標DI(売上高、同単価、仕入単価、採算、引き合い)データを、世界的な経済不況や資源高を経験した時期までさかのぼり、両指標の相関をとることで時系列での変化を捉える試みを行います。業況DIは業種により多少の差異がありますが、売上や引き合いなどの指標と連動しやすく、相関がより強く出ると考えられます。
下表の通り、まず2006年までさかのぼると、総じて相関係数が高く、特に「売上高」や「引き合い」が目立っています。次に業況が好調時を抽出すると、指標間の濃淡が明確で両指標が際立っています。このころは資源高などによる仕入単価上昇もみられたものの、観光需要や建設投資などを背景に経済全体が右肩上がりで推移しました。
他方で、新型コロナウイルス感染症拡大時を起点にすると、コロナ前は構造的にあまり変わりませんが、コロナ禍では他の時期に比べてすべての係数が高く、特に仕入単価の高さが目立っています。直近の結果だと、非製造業種で仕入単価DI、売上単価や採算がプラスで推移しています。環境の変容などにより、重視する指標の変化があったのかもしれません。
人口動態やテクノロジー進化の波が浸透し、企業を取り巻く環境はより複雑化する可能性があり、各動向に注視しつつ、潮目の把握力もさらに強化していく必要があります。
(おきぎん経済研究所 當銘栄一)