暴力団員に無罪判決 飲食店損壊の共謀巡り、那覇地裁「事実証明が不十分」


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那覇地裁

 2022年2月、宮古島市の飲食店で複数人と共謀してペンキの入ったカラーボールを投げ付けて損壊させたとして、建造物損壊、器物損壊、威力業務妨害の罪に問われた暴力団構成員の40代男性被告に、那覇地裁(佐藤哲郎裁判官)は8日、共謀を裏付ける「事実の証明が不十分」として無罪判決を言い渡した。同様に三つの罪に問われた20代の被告には懲役2年、執行猶予4年(求刑2年6月)を言い渡した。

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 判決などによると、男性は21年9月、飲食店の店長に金銭を要求したとして恐喝未遂容疑で逮捕されたが、不起訴となり釈放された。検察側は、この時の逮捕に不満を抱いた男性が犯行を指示したなどと主張し、懲役3年を求刑していた。男性は犯行に加わっていないことを述べていた。

 判決理由で佐藤裁判官は、男性が店長への報復を語っていたと証言する関係者2人について虚偽供述の動機があるなどとして、その証言は「信用性を認めるには合理的な疑いが残る」と指摘。犯行を実行した20代の被告と男性の間に、「共謀があったことを間違いないものとして認定するには合理的な疑いが残る」と判断した。

 那覇地検の初又且敏次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。

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