「新たな日常」が始まった日 新型コロナ5類に、沖縄県内各地の表情を追った


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
新型コロナ5類移行を伝えるニュースを見る市民ら=8日午前11時50分ごろ、那覇市役所(大城直也撮影)

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられた8日、県内ではマスクを外して散策や飲食を楽しむ人の姿が見られた。一方、人混みやモノレール内では着用する人も目立ち、高齢者や福祉施設では感染拡大への不安も残る。感染対策が個人に委ねられる中、コロナと共に生きる新たな日常が始まった。

 大型連休明けで混雑が落ち着いた北谷町美浜のアメリカンビレッジ。ほとんどの人がマスクをせず、散歩や飲食を楽しんでいた。娘と孫の親子3世代で訪れた60代の女性=沖縄市=は「(コロナで自粛中)孫たちを遊ばせるのが大変だった」と振り返り、「今後も手洗いうがいの基本的な感染対策をしながら、健康に過ごしたい」と話した。

国際通りを行き交う観光客ら=8日午後、那覇市松尾(大城直也撮影)

 買い物客で混雑していた名護市内のスーパーでは、マスクを着けている人と着けていない人両方の姿が見られた。新城拓馬さん(37)は「イベントなどが、やりやすくなるのはいいと思う」と期待を寄せる一方、「再流行し、子どもが通う学校で学級閉鎖が起きたら困る。家庭での対策は継続したい」と話した。

 石垣市のユーグレナ石垣港離島ターミナルでは大きなリュックサックや、キャリーケースを引く観光客らが周辺離島への船の出港を待っていた。東京から観光で来た会社員の相馬直美さん(42)は「特に変化はない。みんなもう安心して過ごしているのでは」と肯定的に受けとめた。

 県立宮古病院の近くで石焼き芋を販売していた吉浜洋子さん(73)も「観光客が増え市内に活気が出てきた」と喜ぶ。市内で患者が急増した時期を振り返り、「もう感染者が増えないでほしい」と願った。

 障がい者の入所と通所の支援施設「太希(たいき)おきなわ」の伊佐直樹室長(50)は「不安だ」と吐露した。昨年7~8月にはクラスターが発生し、利用者の半数程度が感染。複数の病院を回った上に入院できず施設に戻ったケースもあった。「県の入院調整がなくなるため、さらに医療提供体制の確保が厳しくなる」と懸念した。

 那覇市の国際通りはマスクを外して散策する観光客や若い世代が目立った。大阪府から来た福井綾子さん(34)は「観光中はマスクを外すが、電車内では着ける。ずっと着けるのは苦しい」と話す。ゆいレール県庁前駅はマスク姿の人が多く、平良悦子さん(72)=那覇市=は娘の友人に後遺症で退職した人もいたといい「今まで通り対策する」と警戒を緩めていなかった。
 (中村万里子まとめ)