立場利用しての行為に「強い衝撃」 沖縄・児相職員わいせつ 面接時の犯罪防止マニュアルなし


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県職員の強制わいせつ容疑の逮捕を受けてコメントする宮平道子県子ども生活福祉部長(右から2人目)ら=9日午後5時すぎ、県庁記者クラブ(ジャン松元撮影)

 児童や保護者に相談援助を行う児童相談所の児童福祉司が、その立場を利用し、支援を必要とする女子児童にわいせつな行為をしたとされる事件。県子ども生活福祉部の宮平道子部長ら幹部4人が9日夕方、急きょ県庁で会見を開き「被害を受けた児童や保護者、関係者に深くおわび申し上げます」と頭を下げた。県が逮捕の報告を受けたのは同日午前9時。未成年への性犯罪という特性から情報収集もままならず、県は会見時点で被害児童を特定できていなかった。「綱紀粛正および服務規律に万全を期す」とコメントし、再発防止策は出なかった。

 県警によると、逮捕された容疑者(32)は学校の一室で女子児童と1対1になり、動画も撮影していたという。会見の場で宮平部長は「あってはならない事態に強い衝撃。県行政に対する不信と疑念を抱かせた」と陳謝した。

 児相などによると、児童福祉司による面接は通常、子どもの定期的な状況確認などを目的に実施される。初期対応は男女職員のペアで面接することが多いが、定期的な面接は、異性間で1対1になる機会を作らないことや密室にならないことなど、犯罪防止を想定したマニュアルなどはないという。面接での動画撮影は性被害に遭った子どもに迅速に対応する「司法面接」のみにほぼ限られる。

 県が「強い衝撃」とした理由は、児童の信頼や職責を前提とした児童福祉司が業務の穴を突いてわいせつな行為をしたとみられるからだ。

 事件は県警の捜査によって把握され、児相独自で確認する手段はないという。県青少年・子ども家庭課は断片的な情報を収集しているが、県警からの情報提供が少なく、容疑者が担当した50件以上のケース記録から事案を特定できていない。今後、事件の詳細を把握しつつ、面接を複数の職員で行うなどの改善を急ぐという。  

(嘉陽拓也)

【関連記事】

【識者談話】浮かび上がる3つの問題点 児相職員わいせつ容疑で逮捕 矢野恵美・琉球大法科大学院教授
【識者談話】児童の治療プランを立て、外部の力も入れ検証を 児相職員わいせつ容疑で逮捕 西澤哲・山梨県立大特任教授