土地利用規制法、沖縄を初指定へ 先島の自衛隊施設や那覇市の海保第11管本部など きょう審議会


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
与那国島(上空撮影)

 【東京】国境離島や米軍、自衛隊基地周辺などの土地取引を規制する「土地利用規制法」の対象区域の指定で、政府は12日までに沖縄県の石垣、宮古、与那国、久米島などの県内離島にある自衛隊施設を対象とする方針を固めた。政府関係者への取材で分かった。

 各施設を、政府による個人情報の収集や土地売買の制約を伴う「注視区域」や「特別注視区域」とする。同日午後に行われる、指定区域を決める内閣府の「土地等利用状況審議会」に諮る方針だ。

 政府関係者によると、県内では、自衛隊施設のない離島や那覇市の第11管区海上保安本部、石垣海上保安部も指定対象に含む。県外の国境離島施設も指定する方針としている。

 同規制法は自衛隊基地や原発などの重要施設や、領海の根拠となる国境離島の機能を妨害する土地利用を防ぐことを目的として、昨年9月に全面施行。2月に、北海道、青森、東京、島根、長崎の5都道県の計58カ所を「特別注視区域」「注視区域」に指定した。

 特別注視区域では、200平方メートル以上の土地売買契約が事前届け出制となり、違反すれば罰則が科される。政府は2024年ごろまで追加指定を進め、計約600カ所に拡大する方針だ。

 区域指定により、政府による利用状況の調査が可能となる。政府が、不動産登記簿や住民票の収集、土地・建物の所有者氏名や国籍などを把握し、現地調査の実施や資料提出を求めることができるようになる。

 自衛隊機の離着陸を妨害する工作物の設置など、施設の機能を妨害する行為を「機能阻害行為」として、中止勧告や命令を出すことが可能で、命令違反には2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科される。

 一方で、政府が基本方針で示す機能阻害行為の定義について「具体的な内容を示していない」などの指摘もあり、経済活動の自由やプライバシー侵害への懸念や、基地周辺の抗議活動への影響を危惧する声もある。