県内39カ所が土地規制法の対象に 政府、離島を網羅 本島の米軍基地周辺も追加で指定へ


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パイナップル畑などの近くに建設されている陸上自衛隊石垣駐屯地(奥)=12日、石垣市
「特別注視区域」に選ばれた陸上自衛隊宮古島駐屯地=2019年4月、宮古島市上野千代田(小型無人機で撮影)

 【東京】政府は12日、国境離島や米軍、自衛隊施設周辺などの土地取引を規制する「土地利用規制法」の対象区域の候補地に石垣、宮古、与那国など県内から39カ所を選び、土地等利用状況審議会に提示した。指定は2回目で沖縄は初。次回の審議会で了承されれば、8月ごろには官報に掲載され、正式に指定される。政府は今後、沖縄本島の米軍、自衛隊施設なども追加指定していく方針。

 区域指定で政府による調査が可能になり、罰則を伴う違反行為の規定もあるため、自衛隊や米軍などの防衛施設が集中する沖縄での経済活動の自由やプライバシー侵害、活動制限への懸念も出てきそうだ。

 内閣府によると、防衛関係施設のうち司令部など「特に重要」とされる防衛施設周辺の「特別注視区域」に陸上自衛隊石垣駐屯地、同宮古島駐屯地、航空自衛隊宮古島分屯基地など7カ所を選んだ。
 防衛関係施設や海上保安庁の施設などの周囲約1キロと国境離島が対象の「注視区域」には、久高島、粟国島、南北の大東島など32カ所が選ばれた。沖縄では、離島地域を網羅する選定となったが、本島地域でも南城市の「知念高射教育訓練場」などの自衛隊施設が選ばれている。

 政府は今回、米軍基地を指定対象としなかったものの、3回目以降の追加指定の対象とする方針を示している。指定区域は最終的に計約600カ所に拡大する方針だ。

 全国では161カ所が新たに指定され、既に官報掲載された1回目の58カ所と合わせて219カ所となる見込みだ。

 2024年ごろとしていた区域指定の完了時期を前倒しする考えも示しており、選定作業はさらに加速する。

 特別注視区域での200平方㍍以上の土地売買契約は、事前届け出が義務付けられる。

 自衛隊機の離着陸を妨害する工作物の設置など、施設の機能を妨害する行為は「機能阻害行為」とされ、中止勧告や命令を出すことが可能だ。いずれも違反行為には罰則が科される。一方で、基本方針で示す「機能阻害行為」の定義が曖昧との指摘も出ており、基地周辺での抗議活動が制限される恐れもある。
 (安里洋輔)