住民「まるで戦前のよう」「当然」 土地利用規制、沖縄39カ所指定へ


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陸上自衛隊石垣駐屯地(資料写真)

 政府が12日、「土地利用規制法」対象区域の候補地に沖縄県宮古島市、石垣市、与那国町、久米島町など39カ所を選んだことを受け、各地の住民からは法の「恣意(しい)的」運用への懸念や、規制によって住民が声を上げづらくなるとの恐れから「戦前回帰だ」と批判する声があった。一方、自衛隊施設は機密性が高いとして、規制は「当然」で、安全保障上「必要だ」と理解を示す声もある。

 陸上自衛隊石垣駐屯地近くの畑で汗を流す農家の70代男性は、両親が戦争体験者であることを踏まえ、怒りの声を上げた。「軍事力、基地には反対だ。国は『専権事項』をちらつかせて、住民を黙らせる。まるで戦前のようだ」と国の姿勢を批判した。

 一方、駐屯地近くで自営業を営む70代女性は国防上「規制は必要」と理解を示す。今後どのような規制があり、住民にどう影響するのか「注視したい」と淡々と語った。

 「恣意(しい)的に運用されないか心配だ」と疑問を呈すのは与那国町の山田和幸さん(71)。陸自与那国駐屯地への地対空誘導弾(ミサイル)部隊の追加配備計画で、15日に住民説明会があることを踏まえ「土地規制の議論と説明会が同時に進められているのは偶然とは思えない。説明会を終えたら、(自衛隊関連の)物事が一気に動くのでは」と警戒感を示した。

 ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の上里清美共同代表は、自衛隊施設周辺には住民が多くいるとして「政府は『住民のために』と強調しながら勝手に法律を作るが、私たちの生活やプライバシーは守られていない」と憤りをあらわにした。

 航空自衛隊久米島分屯基地がある宇江城の神里克区長は「(土地規制法に関する)報道を見ていて、自衛隊施設周辺の土地の売買が厳しくなるのは、覚悟していた。特に区への目立った影響はないと思う」と話した。

(照屋大哲、友寄開、藤村謙吾)